恵が薫へと送ったのは

恵の郷里である会津でも有名な「絵蝋燭」

 

美しい花の絵が丁寧に描かれた2本の対の蝋燭

 

箱と共に薫へと宛てた手紙が剣心より手渡された

 

 

―――会津では、古くより「華燭の典(かしょくのてん)」と呼ばれ、婚礼や儀式に使われるもの

―――どうか末永く、この灯火を消す事のないよう、ささやかながら二人へと贈ります

 

「恵さん・・・」

 

 

ぐっと胸が熱くなった

 

縁との戦いを終え、弥彦も佐之助の家へと独り立ちし、

再び神谷道場で二人きりとなった、

いわば新婚夫婦のような生活を送る二人に恵は祝のつもりであったのだろうか

 

美しい華の絵が描かれた対の蝋燭を二人へと手向けた

 

 

「薫殿?どうしたでござる?」

「ん?いや、なんでもない・・・なんでもないの」

 

 

そっと着物の袖で目頭を覆った薫に気遣う剣心は

いつもと変わりのない瞳

 

その目に何を不安としたのだろうか

そんな自分に情けなさを思いつつ

恵が託した蝋燭とその思いに胸打たれた薫だった

 

 

 

 

 

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